先住猫のるなすけは10歳の避妊済み、それはそれは気性が荒い上に、私以外の人間には慣れず、気に入らなければ誰に対してでも猫パンチで応酬するというわがままな猫です。
その為、「もう1頭」という気持ちをずっと抑えてきたのですが2頭目ににゃーぶー(この子はFelv陽性なので完全に違う部屋にいます)を迎えた時から多頭飼いへのチャレンジを始めました。
そう思った時に、ちょうど野良猫なのに人懐っこく、でもマンションの住民同士でたらい回しのようになっていた子に出会いました。それがちーぼーです。今にして思えば、このちーぼーの性格が私の多頭飼いチャレンジを後押ししてくれました。
準備期間としてちーぼーには組み立てケージに入ってもらい、るなすけを自由にさせておきながら互いの匂いに慣れてもらうことにしました。結果は惨敗でした。るなすけの匂いに対してちーぼーはただ鼻をひくつかせる程度でしたが、ちーぼーの匂いに対してるなすけは猛り狂いました。主人はそばを通っただけですねを咬まれ、私が抱こうとしても猫パンチをして逃げていきました。
2週目になり、るなすけがちーぼーの匂いを嗅いでも「しゃーっ」と言うだけで済むようになった頃、時間を区切って自由に対面させるようにしました。ちーぼーは物怖じせずに寄っていきましたが、るなすけはそんなちーぼーの顔でも身体でもかまわず猫パンチを浴びせた挙句に、冷蔵庫の上に逃げました。
その後しばらくは、ちーぼーとの対面時間になるとパンチを浴びせてから冷蔵庫の上に逃げる、というパターンが出来上がってしまいました。この時期、一緒に飼うことを諦めかけました。元気といっても10歳を越えるるなすけにどれほどのストレスを与えているのか、という思いと顔を会わせる度に問答無用でパンチされるちーぼーへの不憫さ。わたしのわがままから2頭ともを不幸にしたのだ、と思ったのです。
3週目を越えた頃、ふとした変化が現れました。なんといったら、いいのでしょうか。るなすけのパンチと威嚇は変わらずでしたが、どこか「本気でない」ように見えたのです。実際にパンチした後にも逃げずに、自分からごろんと横倒しになり後ろ足で軽い蹴りを入れてみたり、といった風にです。どちらが追う、追われるというのでもなく追いかけっこをしているところを見るようになったのもこの頃からでした。
渋々ながらも、るなすけはちーぼーを受け入れることにしたようなのです。ただひとつ、そんな結果に落ち着くことができたのはひとえにちーぼーの性格によるものだったと思います。どんなにパンチをされても、威嚇されてもちーぼーは1つもやり返しませんでした。いつもただ、身体を小さくしてごろんとるなすけにお腹を見せました。
難しい、と言われるメス同士の同居でしたが、結局おろおろしていたのは飼い主である私1人で、2頭はいつのまにかお互いのエリアを決めてほどよい距離を保つようになっていきました。こたつの下や箪笥の上といった場所の1つ1つを、まるで陣取り合戦のように決めていっているようでした。
今、1ヶ月が過ぎて2つの部屋は開け放しています。地面はちーぼーが自由にしており、高い場所や押入れなどで居心地のいい空間はるなすけが占有しています。互いのテリトリーと共有部分はある程度変化したりするようですが、「私がお風呂中の湯船のふたの上」だけは今でも、るなすけだけの占有のようです。そこにいる時はあまりに本気で攻撃するので、ちーぼーも覚えて近寄らなくなりました。
ちーぼーはまだ遊びたい気持ちが残っているようで、るなすけを獲物に見立てて飛びついたりしますが、適度な取っ組み合いですんでいます。2頭は決して「仲良し」にはなりませんでしたし、これからもならないのではないかと思います。2頭で仲のよいお昼寝や互いの毛づくろいなどはありません。最初はそうなってくれたらいいな、との思いもありましたが、2頭が自分たちで互いの位置を築いたのですから、私も「こうなってほしい」という希望や思い込みをすっきりと捨てることができました。
互いのストレスによる食欲の低下やおしっこを我慢した結果の膀胱炎などを心配していましたが、思ったほど食欲は落ちず、トイレも自分のトイレでしてくれました。お互いのトイレを使ってしまうのだとしても、やはりトイレは頭数分が必要だと実感しました。
我が家でのケースは、何か工夫があったというわけでもなく、ただ飼い主は心配しているうちに事態が収束してしまったものなので、現在苦労されている方の参考にはならないかもしれないですね。でも、今回ちーぼーとるなすけが教えてくれたのは「案ずるより生むが易し」と「明けない夜はない」でした。私が思っていたよりも、この2頭の方が大人だったのかもしれません。
今、多頭飼いの道を模索されている方ももちろんですが、私の拙い経験が、もう1頭を増やそうかどうしようか、悩んでおられる方のお気持ちを少しでも「よいしょっ」と後押しすることになればとてもうれしいことだと思っています。1+1が2ではなく、3にも4にも5にもなってる我が家なものですから。 |